hspcmp.txt

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HSPCMP.DLL ver3.0                                   HSP : Hot Soup Processor  
HSP拡張DLLリファレンス             copyright 1999-2005 (c) onion software  
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・はじめに

	このDLLは、Hot Soup Processor ver3.0以降のHSPスクリプトエディタなどで使用
	可能なHSPコードコンパイラです。
	HSP本体と組み合わせて、スクリプトからコードコンパイラの機能を呼び出す
	ことができます。

	HSPCMP.DLLは、HSED3.EXEと同じディレクトリに置いてお使い下さい。
	また、HSPの拡張プラグインとして使用する場合は、HSP3.EXE,HSED3.EXEと同じ
	ディレクトリに置かれている必要があります。


・スクリプトからの呼び出し

	HSPスクリプトからDLLを呼び出すには、以下の行をスクリプトの先頭に追加
	して下さい。

	#include "hspcmp.as"

	その後は、命令が追加されHSPコードコンパイラの機能が使用できるようになります。


・命令詳細

	hsc_ini "filename"

		HSPCMP.DLLの初期化を行ないます。
		HSPCMP.DLLの機能を使用する場合は、最初に初期化をする必要があります。
		"filename"で指定したファイルをコンパイルの対象とします。
		ファイル名は、拡張子(asでなくても構いません)も含めて指定して下さい。

	hsc_refname "filename"

		エラーメッセージで表示されるソーススクリプトファイル名を指定します。
		これは、たとえば「test.as」という名前を一時的に「hsptmp」などの別名で
		保存してコンパイルする時にも、エラーメッセージには「test.as」ファイル
		内でエラーが起こっているということを表示させるためのものです。
		ソーススクリプトファイル名が、hsc_iniで指定したファイルから変更する
		必要がない場合は、指定しなくても構いません。

	hsc_objname "filename"

		出力されるオブジェクトファイル名を指定します。

	hsc_compath "pathname"

		#includeでサーチされる共通ディレクトリを指定します。
		"pathname"は必ず「\」で終わる文字列である必要があります。
		hsc_compathが指定されなかった場合は、hspcmp.dllを使用しているEXEの
		下にある「common」ディレクトリが参照されます。

	hsc_comp p1,p2,p3

		HSPコードコンパイラで、ソースファイルをコンパイルして、オブジェクト
		ファイルを作成します。
		p1のパラメータで、デバッグ情報をオブジェクトファイルに出力するかを
		指定することができます。p1が0かまたは省略されている場合は、エラー行
		表示などに必要なデバッグ情報がオブジェクトファイルに付加されません。
		p1が1の場合は、デバッグ情報が付加されます。
		p2が0の場合は「__hsp30__」マクロが定義された状態でコンパイルを行ないます。
		p2が1の場合は、マクロは定義されません。これは、スクリプトエディタの
		「HSP拡張マクロを使用する」フラグをコンパイラに渡すためのものです。
		p2の値を+2(bit1)すると、デバッグモードであることを示すシンボル(_debug)
		が追加されます。
		p2の値を+4(bit2)すると、ソースに含まれる実行ファイル自動作成のための
		命令(#pack,#epack,#packopt)をもとにpackfile作成を行ないます。
		p3が0以外の場合は、デバッグウインドゥを表示するフラグをオブジェクト
		ファイルに埋め込みます。
		hsc_comp命令を実行するためには、必ずhsc_ini命令で初期化とファイルの
		指定をする必要があります。
		また、必要があればhsc_objnameで出力されるオブジェクトファイル名を
		指定します。(出力ファイル名は、デフォルトではhdc_iniで指定した
		ファイル名の拡張子が「.ax」になったものになります)
		さらに必要であれば、hsc_refname命令をあらかじめ実行しておいて
		下さい。コンパイルの手順としては、

			1.「hsc_ini」
					↓
			2.「hsc_refname」(省略可)
					↓
			3.「hsc_objname」(省略可)
					↓
			4.「hsc_comp」

		のようになります。

	hsc_getmes p1

		p1で指定した文字列型の変数に、エラーなどHSPCMP.DLLが出力した
		メッセージを代入します。

	hsc_clrmes

		コンパイラが出力したメッセージのデータをすべてクリアします。

	hsc_ver

		システム変数refstrに、HSPコードコンパイラのバージョン情報を
		文字列として返します。

	hsc_bye

		HSPコードコンパイラの終了処理を行ないます。
		この命令は自動的に実行されるので、通常は使用しません。

	pack_ini "filename"

		PACKFILEマネージャの初期化を行ないます。
		PACKFILEの操作を行なう場合(「pack_」で始まる命令)は、最初に
		初期化をする必要があります。
		"filename"で指定したファイルを操作の対象とします。
		ファイル名は、拡張子のないものを指定して下さい。

	pack_view

		pack_iniで指定したファイルをDPMファイルとして内容一覧を表示
		します。pack_viewの結果は、hsc_getmes命令で取得して下さい。

	pack_make p1

		p1 = 0=標準EXEファイル用 / 1=外部DPMファイル用

		pack_iniで指定したファイル名でDPMファイルを作成します。
		p1で、標準EXEファイル用か、外部読み込み用のDPMファイルなのかを
		指定する必要があります。
		DPMファイルに含めるファイルは、カレントディレクトリの
		「PACKFILE」内のテキストで指定されたファイルになります。

	pack_exe p1

		p1 = 0=標準 / 1=フルスクリーンモード / 2=スクリーンセーバー

		pack_iniで指定したファイル名でEXEファイルを作成します。
		p1で3つのモード(標準・フルスクリーン・スクリーンセーバー)
		を指定することができます。
		EXEファイルに含めるファイルは、カレントディレクトリの
		「PACKFILE」内のテキストで指定されたファイルになります。
		また、HSPランタイムファイル(hsprt)が適切なディレクトリに
		置かれている必要があります。

	pack_opt p1,p2,p3

		p1 = 画面Xサイズ( 0 or 省略時 = 640 )
		p2 = 画面Yサイズ( 0 or 省略時 = 480 )
		p3 = 起動時のメインウインドゥ表示スイッチ( 1=非表示 )

		pack_exe命令でEXEファイルを作成する場合のオプションを
		指定します。pack_exe命令を実行する前に、指定をしておく
		必要があります。

	pack_rt "filename"

		pack_exe命令でEXEファイルを作成する場合に参照される
		HSPランタイムファイル(hsprt)のあるフルパス名を指定します。
		HSPランタイムファイルがカレントディレクトリにない場合は、
		指定をしておいてください。
		(例: pack_rt "c:\hsp\hsprt")

	pack_get "filename"

		pack_iniで指定したファイル名をDPMファイルとして、格納
		されているファイルを取り出します。
		"filename"で指定したファイルが取り出され、カレントディレクトリに
		セーブされます。

	hsc3_getsym

		コンパイラのメッセージバッファにHSPで使用されるシンボル名を出力します。
		出力は、「シンボル名,sys[|var/func/macro][|1/2]」の形式になります。

	hsc3_messize val

		hsc_getmesで得られるメッセージ全体のサイズを、valで指定した変数に
		代入します。

	hsc3_make "path"

		実行ファイルの自動作成を行ないます。
		"path"でHSPランタイムライブラリのあるフルパスを指定します。
		packfileのオプションに従って実行ファイルを作成します。
		オプション付きのpackfile作成は、hsc_compで行ないます。

	hsc3_getruntime val, "objfile"

		"objfile"で指定されたHSPオブジェクトファイルを解析して必要となる
		ランタイム実行ファイル名をvalで指定した変数に取得します。

	hsc3_run "string", p1

		"string"の内容をランタイム実行用のコマンドラインとして処理します。
		"string"には、「ランタイム名」「オブジェクトファイル名」
		「起動オプション」をそれぞれスペースで区切った形で指定する
		必要があります。
		p1でデバッグウィンドウのON/OFFを指定します。
		p1が1の場合は、デバッグウィンドウを表示します。


・注意点

	HSPCMP.DLLは、HSP3.0以上と同時に使用されるプラグインファイルです。
	EXEファイルを作成した場合でも、HSPCMP.DLLをEXEファイルと同じディレクトリ
	に置かないと動作しません。また、packfileにDLLを追加することはできません。

	このバージョンについてお気づきのことや、ご意見などありましたら、
	メールやHSPの掲示板の方にお寄せ下さい。


・著作権および連絡先

	HSPCMP.DLLの著作権はonion softwareにあります。
	onion softwareは本プログラムによって生じた、いかなる損害についても
	保証いたしません。自己の責任の範囲で使用してください。

	HSPCMP.DLLに対応したスクリプトおよび、ソフトは自由に開発していただいて
	構いません。公開、配布していただくも自由です。
	ただし、HSP本体のコンパイル機能(hspcmp.dllの機能)は、商用、非商用を
	問わず無断で同梱・再配布などを行なうことを禁止致します。
	コンパイル機能を使用するソフトウェアを公開する場合は、
	入手先(http://www.onionsoft.net/hsp/)を明記するか、配布ライセンスについて
	メール(onitama@onionsoft.net)にてお問い合わせ下さい。

	HSPCMP.DLLは、Microsoft Visual C++ 7.1でコンパイルされています。
	このソフトに関するお問い合わせ、感想、ご意見などは以下のメールアドレスまで。

	E-Mail address :  onitama@onionsoft.net (internet)


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Appendix : HSPからスクリプトのコンパイルを行なう方法
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	HSPCMP.DLLをHSPスクリプトから呼び出すサンプルを示します。
	以下は、スクリプトエディタの「コンパイル+実行」と同じ動作を行ないます。

	#include "hspcmp.as"

	;
	;	HSP3ソーススクリプトをコンパイルして実行する
	;
	sdim mesbuf,$10000
	sdim rtname,256

	fname="test1.as"		; スクリプトファイル名
	objname="obj"			; オブジェクトファイル名

	hsc_ini fname
	hsc_objname objname
	hsc_comp 0
	res=stat:if res!=0 : dialog "ERROR" : goto *goerror

	delete fname+".i"		; 中間ファイルを削除

	hsc3_getruntime rtname, objname
	if rtname="" : rtname="hsp3.exe"
	debug_mode=0			; デバッグウィンドウ表示フラグ

	cmdexe = dir_exe+"\\"+rtname+" "+objname
	hsc3_run cmdexe, debug_mode

*goerror
	hsc_getmes mesbuf

	objmode 1
	flg=1				; 0=編集不可/1=編集可能
	mesbox mesbuf,636,446,flg+4

	stop


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Appendix : CプログラムからのHSP拡張プラグインの呼び出し方法
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	ここでは、HSPCMP.DLLをCプログラムから呼び出す方法を解説しています。
	これ以外の拡張プラグインも、基本的には同じ方法でアクセス可能です。
	リストの例は、Visual C++で使われているものです。


・呼び出し側

	下のリストは、HSPCMP.DLLをリンクして関数を定義している部分です。
	DLLFUNCという型の関数を定義して使っています。
	引数が(int,int,int,int)になっていますが、別のタイプであっても4つの
	呼び出しパラメータ(サイズは4byte)であれば何でも構いません。
	下の例では、dll_iniを呼ぶことでhsc_で始まるそれぞれの関数が使用できる
	ようになり、dll_byeを呼ぶことで開放します。(ここでは開放時に、
	hsc_byeを呼ぶようになっています)

/*
		DLL support routines
*/

typedef BOOL (CALLBACK *DLLFUNC)(int,int,int,int);

DLLFUNC hsc_ini;
DLLFUNC hsc_refname;
DLLFUNC hsc_objname;
DLLFUNC hsc_comp;
DLLFUNC hsc_getmes;
DLLFUNC hsc_clrmes;
DLLFUNC hsc_ver;
DLLFUNC hsc_bye;
DLLFUNC pack_ini;
DLLFUNC pack_make;
DLLFUNC pack_exe;
DLLFUNC pack_opt;
DLLFUNC pack_rt;
DLLFUNC hsc3_getsym;
DLLFUNC hsc3_make;
DLLFUNC hsc3_getruntime;		// 3.0用の追加
DLLFUNC hsc3_run;				// 3.0用の追加

static	int dllflg=0;			// DLL uses flag
static	HINSTANCE hDLL;			// Handle to DLL

static char *SetDllFunc( char *name )
{
	//		DLL関数を割り当てる
	//
	char *ent;
	char fncname[128];
	fncname[0]='_';
	strcpy( fncname+1,name );
	strcat( fncname,"@16" );
	ent = (char *)GetProcAddress( hDLL, fncname );
	if (ent==NULL) dllflg=-1;				// error flag
	return ent;
}


int dll_ini( char *libname )
{
	//		Initalize DLL entry
	//			(result:1=ok)
	//
	hDLL = LoadLibrary( libname );
	if ( hDLL==NULL ) return 0;

	dllflg=1;
	hsc_ini = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_ini");
	hsc_refname = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_refname");
	hsc_objname = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_objname");
	hsc_comp = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_comp");
	hsc_getmes = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_getmes");
	hsc_clrmes = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_clrmes");
	hsc_ver = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_ver");
	hsc_bye = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc_bye");
	pack_ini = (DLLFUNC)SetDllFunc("pack_ini");
	pack_make = (DLLFUNC)SetDllFunc("pack_make");
	pack_exe = (DLLFUNC)SetDllFunc("pack_exe");
	pack_opt = (DLLFUNC)SetDllFunc("pack_opt");
	pack_rt = (DLLFUNC)SetDllFunc("pack_rt");
	hsc3_getsym = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc3_getsym");
	hsc3_make = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc3_make");
	hsc3_getruntime = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc3_getruntime");		// 3.0用の追加
	hsc3_run = (DLLFUNC)SetDllFunc("hsc3_run");						// 3.0用の追加

	return dllflg;
}


void dll_bye( void )
{
	//		Release DLL entry
	//
	if (dllflg==0) return;
	if (dllflg==1) {
		hsc_bye(0,0,0,0);					// 後始末routine
	}
	FreeLibrary( hDLL );
	dllflg=0;
}



・HSPCMP.DLLを使ったファイルのコンパイルと実行

	以下の例は、ファイルのコンパイルと実行を行なう例です。
	hsc_で始まる命令についての詳細は、命令リファレンスを参照してください。
	おおまかな流れは、hsc_iniでソーススクリプトを指定してから、
	hsc_objnameで出力されるオブジェクトファイルを指定します。
	その後、hsc_compでファイルがコンパイルされます。
	エラーがあった場合は、hsc_getmesでメッセージデータを取り出す
	ことができます。
	エラーがなかった場合は、ランタイムを呼び出して実行させます。
	下の例では、ディレクトリの指定は特に行なっていませんが、実際には
	ランタイムのあるディレクトリを含めたパスや、ソーススクリプトのパスなどを
	含めた名前で指定するといいでしょう。

	/*
			HSP compile support routines
	*/

	char hsp_file[128];				// ソーススクリプトファイル名
	char objname[128];				// オブジェクトファイル名
	char errbuf[32000];				// エラーメッセージ格納の領域
	char cfname[_MAX_PATH];				// ランタイムファイル名
	char execmd[2048];				// 実行用文字列
	int a,i;

	//		Compile as file
	//
	strcat( hsp_file,"test.as" );
	strcat( objname,"test.ax" );
	hsc_ini( 0,(int)hsp_file, 0,0 );
	hsc_objname( 0,(int)objname, 0,0 );
	a=hsc_comp( 1,0,0,0 );
	if (a) {
		hsc_getmes( (int)errbuf,0,0,0 );	// エラーを取得
	}

	//		execute HSP3 process
	//
	*cfname = 0;
	hsc3_getruntime( (int)cfname, (int)objname, 0, 0 );	// ランタイムを取得
	if ( *cfname == 0 ) {
		wsprintf( execmd,"%s ", "hsp3" );
	} else {
		wsprintf( execmd,"%s ", cfname );
	}

	strcat( execmd,objname );
	if (hsp_cmdopt[0]!=0) {
		strcat( execmd," " );
		strcat( execmd,hsp_cmdopt );		// コマンドラインオプションがある場合
	}

	i = hsc3_run( (int)execmd, 0, 0, 0 );
	if ( i ) {
		//	エラー "実行用ランタイムファイルが見つかりません。"
	}


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                                                HSP users manual / end of file 
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